第一種・第二種貨物利用運送事業を始める際、純資産300万円以上の要件がネックとなることがあります。しかし、純資産が不足していても諦める必要はありません。この記事では、300万円未満でも事業を開始するための具体的な対処法、増資以外の選択肢、そして注意すべきポイントを詳しく解説します。
貨物利用運送事業の純資産要件とは?

純資産額の定義と300万円の根拠
貨物利用運送事業を始めるには、一定の財産的基礎があることを示す必要があります。その基準となるのが純資産額300万円以上という要件です。この金額は、事業の安定性を確保し、万が一の事態にも対応できる体制を整えるために定められています。
純資産が不足するとどうなる?
純資産が300万円に満たない場合、原則として第一種・第二種貨物利用運送事業の許可・登録を受けることができません。しかし、代替手段や他の解決策もありますので、諦めずに検討しましょう。
純資産証明に必要な書類
純資産を証明するためには、貸借対照表などの財務書類を提出する必要があります。新設法人や個人事業主の場合、開業時の資金計画を示す書類も必要になります。
純資産300万円未満の際の具体的な解決策

増資による純資産額の充足
最も直接的な解決策は、増資によって純資産を300万円以上にすることです。これにより、財産要件を満たすことができます。増資を行う際の必要書類や手続きは、専門家である行政書士に相談するとスムーズです。
純資産額が300万円未満の場合、最も簡単な方法は増資です。増資額は不足分を補う金額を基準に設定しますが、審査期間中の損益が赤字になる可能性も考慮し、余裕を持たせることが重要です。
- 必要書類:
- 増資後の貸借対照表
- 増資後の月次試算表
- 増資後の履歴事項全部証明書
融資や出資による資金調達
自己資金での増資が難しい場合、金融機関からの融資や、投資家からの出資を検討するのも一つの手段です。事業計画をしっかりと立て、実現可能性をアピールしましょう。
新法人設立
増資が難しい場合、資本金300万円以上の新法人を設立し、その法人で申請する方法もあります。この場合、設立時に資本金を十分に設定することで、後から増資の手間を省くことができます。
専門家によるサポートの活用
純資産不足の状況を打開するには、行政書士などの専門家のサポートが非常に有効です。実績のある専門家に相談することで、最適な解決策を見つけることができます。
もちろん、当事務所はその道のプロ集団です。増資のお悩みも解決いたします!

増資申請の注意点
(1) 書類の準備タイミング
増資後に提出する書類は、申請直前の月次試算表が必要です。経理処理のスケジュールを顧問税理士と調整し、余裕を持って準備しましょう。
(2) 履歴事項全部証明書
増資額の変動がわかる履歴事項全部証明書を必ず用意してください。現在事項全部証明書では増資前の資本金が確認できないため、不備とみなされる可能性があります。
債務超過の場合の注意点
債務超過で純資産額がマイナスの場合、最低でも300万円以上の増資が必要です。しかし、増資が困難な場合、新たに子会社を設立して申請する選択肢もあります。設立時の資本金を300万円以上に設定することで、許認可申請をスムーズに進められます。
債務超過とは?
債務超過とは、負債が資産を上回っている状態を指します。この状態では、純資産額がマイナスとなり、貨物利用運送事業の許可・登録を受けることは非常に困難になります。
債務超過を解消する方法
債務超過を解消するには、まず資産を増やし、負債を減らす必要があります。具体的には、事業の立て直しや、不必要な資産の売却、金融機関との債務整理交渉などが考えられます。
新設法人での貨物利用運送事業開始時の留意点

新設法人の設立と純資産
新設法人で貨物利用運送事業を開始する場合、設立時の資本金が純資産額とみなされます。資本金が300万円未満の場合は、増資などにより純資産を300万円以上にする必要があります。
設立時の事業計画の重要性
新設法人の場合、事業計画が審査に大きく影響します。特に資金計画を明確に示し、事業の実現可能性をアピールすることが大切です。行政書士に相談して、実現性の高い事業計画を作成しましょう。
まとめ
純資産額300万円以上という要件を満たさない場合でも、増資や新法人設立などの方法で対応可能です。ただし、必要書類の準備や増資のタイミングには注意が必要です。貨物利用運送事業の登録申請をスムーズに進めるためには、事前準備をしっかり行い、専門家に相談することをおすすめします。
当事務所では、許認可申請手続きや増資に関するサポートを提供しています。お困りの際はお気軽にご相談ください。