貨物利用運送事業を始めるには、いくつかの登録や許可が必要です。この事業は、自社の車両を使わず、他社の運送業者を利用して荷物を運ぶ事業を指します。事業開始には、「第一種」と「第二種」があり、それぞれ異なる手続きが求められます。

第一種貨物利用運送事業

第一種貨物利用運送事業は、他の運送業者を利用して荷物を運ぶもので、トラック、鉄道、船舶、航空などの運送手段が含まれます。この事業を始めるには「登録」が必要です。必要な登録要件には以下のものがあります。

  1. 施設: 適切な営業所や事務所が必要です。保管施設も含まれる場合があります。
  2. 財産的基礎: 純資産300万円以上が求められます。
  3. 経営主体: 特定の刑罰や不正行為の履歴がないことが条件です。

必要な書類には、事業計画、運送業者との契約書、定款、貸借対照表、役員の履歴書などがあります。申請後の審査期間は通常2〜3か月です。

第二種貨物利用運送事業

第二種貨物利用運送事業は、国際物流を含むもので、鉄道、航空、海運などを組み合わせた複合的な運送形態が含まれます。この事業を始めるには「許可」が必要です。許可要件は第一種より厳しく、次のような基準があります。

  1. 事業計画の適切性: 運送事業者との契約が確実であること。
  2. 施設: 使用権限のある営業所や事務所、必要に応じて保管施設が必要です。
  3. 事業の遂行能力: 組織体制や法令知識が求められます。純資産300万円以上も必要です。

必要な書類には、第一種のものに加え、集配事業計画や受託者との契約書などがあります。申請後の審査期間は通常3〜4か月です。

無登録・無許可の罰則

無登録で第一種事業を経営した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、無許可で第二種事業を経営した場合は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。

申請手続き

申請手続きは、事業計画の策定、必要書類の準備、所定の申請書類の提出から始まり、審査を経て国土交通大臣からの登録または許可を受けます。第一種の申請は比較的簡単ですが、第二種の申請は複雑で専門的な知識が必要です。

事業開始後の義務

登録または許可を受けた後も、定期的な事業報告書の提出や事業計画の変更手続きが必要です。また、運賃や料金の設定や改定も届出が必要です。

専門家への相談

初めて貨物利用運送事業を始める場合、専門家に相談することをお勧めします。行政書士などの専門家は、登録・許可の取得、申請書類の作成、必要なコンサルティングを行ってくれます。費用は依頼内容によって異なりますが、第一種登録手続き代行は約20万円、第二種許可手続き代行は約55万円からとなっています。

貨物利用運送事業を円滑に始めるためには、適切な準備と専門的な知識が必要です。専門家のサポートを受けながら、確実な申請手続きを進めることをお勧めします。

当事務所YAS行政書士へご相談ください。貨物利用専門のスタッフが全て行いますので、安心して丸投げしていただいて構いません。

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